そんな中で、あたしから見たらものすごい業績をお持ちの方でもアカデミック・ポジションが取れなかった話とか、スタンフォード出た人が200くらい応募しても面接にすら呼ばれなかった話とかを聞いて、んならあたしなんかがダメでも当たり前だぁ、と思ってちょっと慰められた気分になったりしてました。
日本で余剰博士の問題が深刻になっているというのは以前のエントリー「博士号取っても定職なし?!」に書いたとおりで、アメリカでのデータは見つけられませんでしたが、Ph.D.全体を見るとおそらく同じような現象が起きているんだと思います。
ところがどっこいこの奇跡!
元々公募してたポジションが埋まったあとにできた"おまけ"のポジションをゲットしたあたり、いつもギリギリ小指一本でひっかかってきたあたしの「おまけ人生」そのまんまですが、それにしたってなんでこのあたしが?
というわけで、ちょっと内輪話をば。
そもそもあたしの専門分野というのが、プロフィールに「特殊」と書きましたが、本当に特殊なんです。
(もうおわかりの方もあるかもしれませんが・・・)
日本の大学でこの専門を置いている大学はまだないし、アメリカでもこの専門で博士課程のある大学は20ほどしかないんです。
あたしがどこのPh.D.プログラムに進学しようかと考えていた当時(6-7年前)は全米で10ほどしかなかったので、年々増えてはいますが、まだ伝統的な専門分野に比べたら全然少ないんです。
だから、あたしの分野の博士余りはそれほど深刻じゃないと言えるのかもしれません。
実際、アカデミック・ポジションにこだわらなければ仕事は結構あるんです。
まだまだ研究が遅れている分野なので、研究職はほとんどないに等しいですが、その分民間での専門の仕事があるんです。
でもあたしの場合は現場での専門の仕事を10年以上やってきて現場はもういいや、と思ったのと、以前からの夢を成し遂げるためにもどうしてもアカデミック・ポジションが欲しかったんです。
それから、正直言うと、今回のポジションもあたしには100点満点大満足のポジションではありません。
マイナス点はいろいろあります。
その1)リサーチ・インスティテューションではなく、ティーチング・インスティテューションなので研究へのサポートがあまりない。
その2)テニュアのシステムがそもそもない。
その3)この専門以外の人に(専門の人ですら?涙)大学名を言っても誰も知らない。
その4)就労ビザ取得の金銭的サポートをしてくれない。
その5)キャンパスも建物もオフィスもしょぼい。
その6)Cost of Livingがベラボーに高い。
プラス点はといえば。
その1)グラントやパブリケーションのプレッシャーが少ない。
その2)地域環境が今後のあたしの研究には最適。
その3)プログラムのディレクターが担当授業数や研究に対して理解がある。
その4)こんなあたしを雇ってやろうだなんてかなりのリスクを背負ってくれる。
その5)同僚となる先生たちがみんな親切でピリピリしていない。
その6)街にfalling in love
その7)直感的に"自分らしくいられそう"だと感じる。
というわけで、マイナス点とプラス点を天秤秤にかけたらプラスの方が重かった、というわけです。
プラスの中でもその6)とその7)の比重はかなり大きかったです(^_^;)
特にその7)はあたしにとってはとても大事。
無理にアメリカ人と同じように振舞おうとしなくても、あたしがあたしのままでいられるかどうか、大多数の人たちとは違うあたしをそのままを受け入れてもらえるかどうか、それが何より大事なんです。
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