2005年06月05日

真実とは・・・

いつもチェックしているお気に入りブログの「大学教員の日常・非日常」で「神様がつくったらしい」という記事を読んで思ったことなんぞをちょこっと語ってみます。

最近のCBS放送の世論調査で、米国人の55%、ブッシュ大統領に投票した人の67%が進化論を全く信じないと答えた。またギャロップ世論調査では、米国人の3分の1が聖書が文字通り、真実だと信じていることが分かった。


東亜日報からのこの引用は、東海岸の豪雪地帯にいた頃なら???と思ったでしょうが、南部のバイブルベルトと言われる地帯に住むようになってからは実感として納得できます。
進化論を否定するバンパーステッカーを貼って走ってる車とかあるし。
保守的なクリスチャンの人たちにとって、キリスト教の神は"絶対真実"で、人間を創造したのはその絶対的存在である神なんです。

Ph.D.がDoctor of Philosophyの略というだけあって、今の博士課程では哲学的な思想や世界観を取り扱う授業なんかも結構あって、自分なりの専門理論を打ち立てる上でその基になる自分の世界観というのを認識していることが求められたりして、それなりに色々考えた末、あたしの世界観は所謂「ポストモダニズム」というものに属するという結論に達しています。
ポストモダニズムってあたしの理解でいうと、絶対真実なんて存在しない、あるのは全てpoint of view(観点)だというモノの見方です。

よく考えたら昔から自分が見ているこの赤色と他の人が見ている赤色が全く同じ赤色だなんてわかんないじゃん?!とか、
この机がここに"存在する"なんてどうしてわかるんだろ?とか、
この世で人間の目に見えないもの(霊とか)が"存在しない"なんて人間の驕りじゃないか?とか、
そんなわかったようなわからないようなこと考えてましたあせあせ(飛び散る汗)

だから、"真実は存在しない"と言われてもすんなりとあたしはそれを受け入れられました。
ところが、同じ博士課程のアメリカ人の学生たちの多くがこのポストモダニズムを受け入れるか受け入れないか以前に、そもそも理解ができなくて頭かかえちゃうんです。
つまりこのポストモダニズムを理解しようと突き詰めて考えていくと"絶対真実"である"神"の存在を一時的にでも否定しなきゃいけないので、それができない(不可能なんじゃなくて否定するという選択肢がありえない)敬虔なキリスト教徒の人たちは理解しようとすればするほど頭が大混乱するみたいなんです。

このポストモダニズム、サイエンスの世界でもあんまり人気はないようです。
そもそもサイエンスとは真実を追究して行くものなので、真実が存在するという前提の下に成り立っている世界なので。
いや真実がないといっているわけじゃないんです。
ただ、色んな真実があるんじゃないかと。
真実も人間が作り上げるものだから、サイエンスは最大公約数の人が納得する真実を追究してるんじゃないだろうか、と。

研究者(の卵)として研究をしているとつくづく思うんですが、"客観的"に真実を追究するハズの科学的な研究がいかに人間の主観で成り立っているか。
究明したい現象の全体を調べることは不可能なことが多いので、まずどの部分を切り取って調べるか、ってところに人間の"判断"が入るわけで。
そしてどの研究法を使うか、出た結果をどう解釈するか、それによって"真実"が随分違ってくる。
量的研究法で分析結果をはじきだす統計法だって所詮は人間が考えたもので、より"真実"に近い???統計法が日々発明されていて、新しい統計法と古いのとでは当然その分析結果は違ってくるし。

そういう"真実"を絶対真実だと信じるのが悪いとか間違っているなどとは思いません。
その人にとっては絶対真実で、そう信じることがある種の力にもなると思います。

ただ、それを押し付けるのだけは勘弁してもらいたい、と思うわけで。
たとえば、キリスト教の神を唯一絶対の真実の存在だと信じる敬虔なキリスト教徒さんたちの中には、キリスト教徒でない人を"まだそこに達していない(劣った)、救われない哀れな人"だと思う人が多いらしく、そういう目眼鏡で見られるのは困ったもんです。
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posted by EL at 23:38 | Comment(4) | TrackBack(5) | 我思ふ処 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
以前もお邪魔したmhです。お久しぶりです。
こちらはバイブルベルトを大きくはずれたマサチューセッツなので、あまり宗教色は強くありません。(ホッ)
ポスト・ポストモダンで、逆に絶対真実はない事はない!なんて、ポストモダンの反動なんでしょうか、最近の宗教熱。
思想としては興味深いですけど、結局何らかの差別に使われてしまいそうで、やっぱり宗教って苦手ですワー。
勢力の強まったChristian Rightが与えるダメージが心配です。
Posted by march-hare at 2005年06月11日 12:47
mhさん、お久しぶりです!
モダニズムとポスト・ポストモダニズムはどう違うのでしょうか???
マサチューセッツはアメリカで唯一(今のところ)同性婚を認めている州で、かなりリベラルみたいなので羨ましいです。
Posted by EL at 2005年06月12日 02:15
アメリカのサウスカロライナに高校生交換留学でいって、今月帰って来ました。ホームステイしていたお宅は非常に宗教色が強く、彼ら(私も含めて)が行っていた教会は非常に他宗教に対して排他的でした。
まさかアメリカにそんなところがあるなんて想像もしていなかった私。戸惑いました。
別に他人が何を信じるかなんて私はかまいません。でも彼らにとっては他宗教イコール悪、親切心から私をキリスト教の道に誘う人はたくさんいました。
彼らにとってはそれは唯一無二の正しい道で、それだけが私の『取るべき道』なのでしょう。前にインドのほうであった大地震は、ヒンドゥー教徒やイスラム教徒に対しての神からの罰だと考えていました。
私にとってはキリスト教徒になるというのは選択肢にもありません。それで苦悩していたらしていたらいたで、神が私の心の中に話しかけてきて混乱しているのだと思われるありさま。
ポスト・ポストモダニズムは私自身は大賛成ですが、アメリカの人たちの大部分には受け入れられにくいですねよね。
それもこれも全部「絶対的」なことばかり教えていたキリストのせいだと恨めしく思ったりもしました。
結局私は、最後の日に私を「救おう」とする司教さんを始めたくさんの人達をあいまいな返事でごまかし、日本に帰ってきました。
どれもこれも、そういう地域もあるとしっただけで儲けものだとは思いますが、何千キロも離れた地から未だに神が私を変えることを祈っているであろうホストファミリーの方たちを思うと胸が痛みます。
Posted by 真空 at 2005年06月14日 17:29
真空さん、コメントありがとうございます。
そういうアメリカを体験された方が他にもいらっしゃってよかったです。高校生の交換留学でそういうアメリカを体験されたことが悲劇なのか幸運なのかはわかりませんが(^_^;)
真空さんのホームステイ先の方たちと同じようにあたしの周囲にもあたしが一日も早くキリスト教に目覚めて神の救いを求めるようになるようにと祈ってくれている人たちはたくさんいます。
でも、そういう人たちにとって、自分たちと"同じ"クリスチャンではない人(=自分たちと"違う"人)は自分たちの心に不安を掻き立てる存在なんじゃないかなと思っています。だとしたら"ELのために"と言って祈ることでその人たちの心に平穏がもたらされるんでしょうから、その人たちの気のすむように好きなだけ祈ってもらってます(^_^;)
Posted by EL at 2005年06月15日 12:25
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