2007年01月08日

大学教員のお仕事

大学の“先生”というと、アカデミアに縁のない人には

授業のある日だけ学校行って、授業だけやって、夏休みもあるし冬休みもあるしいいねえいい気分(温泉)

と言われるんですが、違うんですexclamation
てゆーか、学生もそう思ってるし。
あたしも学生のとき割とそんな風に思ってたしたらーっ(汗)

でも違うんですってばっ演劇(←悔しくて意地になってる人)

アメリカプロフェッサー生活」を見ると、リサーチ大学では教員の第一の仕事はリサーチ関係で、ティーチングなんて二の次三の次のらしく、しかも仕事内容がきっちり点数化されてテニュア(終身在職権?)の審査に直結する模様。

うちは、所謂トラディショナルなリサーチ大学ではありません。
テニュアのシステムも実はありません。
でも、それに相当するようなシステムがあって、一応あたしもこの前の契約更新でテニュア・トラックに相当するモノに乗っかったので、今の3年契約をもう一回更新してもらえたら、二度目の3年契約の2年目にはそのテニュアもどきになれるかどうかの審査を受けます。
その審査でダメだったらあと契約の残りの1年はいられるけど、それでおしまい、クビ小雨ということらしいです。
さて、その審査はどういう審査で何がどう評価されるのか。

これは、この前もちょっと書きましたが毎年提出するAnnual Report(年報)を5年分まとめたようなものになるんだと思います(←詳しく知らないらしいあせあせ(飛び散る汗)
この年報は毎年の昇給に影響する大事なもので報告する内容は大きく次の三つの分野に分かれます。

1. Teaching
2. Scholarship
3. Service

1のティーチングはまさに授業についてです。
何のクラスを教えて、学生は何人で、テクノロジーをどの程度使ったか、などを報告します。
そして、学期末にアンケートとして行われる、クラスの内容や教員の教え方に対する学生の評価のまとめを添付しないといけません。
つまり、学生が「最悪のクラスだった」とコメントすれば、それがそのまんま審査委員会に行ってしまうんですもうやだ〜(悲しい顔)

2は出版された論文、投稿して査読中の論文、取り組んでる研究、学内グラント、学外グラント、学会での発表、ワークショップなどなど、研究に関することでやったことを全部報告します。

3では、プログラム内や学内の何らかの委員会でお勤めをしたり、学会のお仕事をしたり、地域で何か役に立つことをしたりしたことを報告します。
学生の指導や博士論文のコミティーの仕事なんかもここに入るハズ(?)

それで、5年後の審査の時にはこの三つの分野のうち二つがExcellentで残りの一つがGoodでないといけないらしいです。かといって項目別に点数化されているわけではないので、何を持ってしてExcellentとするのかGoodとするのかイマイチよくわかりませんが。
でも聞いたところによると、発表論文が一本もないのにずっと勤めてる人がいるらしいとか。
その中の一人が、テニュアもどきを持っていた(どうやって取ったのか不明)にもかかわらず、学部の統廃合の際にとうとうクビになったそうな。

これを聞いて、震え上がってる先生たちが今の勤務先の大学にはいるようです。
そういう人たちは本当に“先生”で“学者”じゃない。つまり、研究ができないみたいなんです。
あたしはフルタイムの大学教員の本業は研究だと思いたい人なので、大学の教員が研究できないってのは信じられないんですが、そういう先生たちと話しているとモノの考え方が全然違うというか、あたしは常にコレは研究につながらないかひらめきということを考えているんですが、そういう先生たちはあっさりスルーしてしまうか、自分で勝手に答えを出して納得してしまう傾向があるようです犬

そんなわけでうちの大学が、教員に論文書いて出せとかグラント取れとか少しプレッシャーをかけるようになってきたのはむしろいいことだとは思うんですが、時間時計が・・・
要するにこの三つの分野をバランスよく全部やれってことなわけで、TeachingとServiceで普段はてんてこ舞いなのに、いったいいつ研究しろっちゅーんだあパンチ
となってるわけです。

冬休みの間に書くつもりだった論文がいーっぱいあるんですが、もう冬休みがそろそろ終わりで、春学期の授業の準備をしないといけないんですが、どれもなーんもできてません。
こまごまとした仕事を片付けていたらいつの間にかお休みが飛行機
ガッコー行きたくないようふらふら←休み明けの子ども状態

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この記事へのコメント
おそばせながら明けましておめでとうございます。以前一度投稿しました、まると申します。一つ質問なのですが、teachingのところに書いてあるテクノロジーとはなんでしょうか?
では、今年も楽しく読ませてもらいます!
Posted by まる at 2007年01月10日 06:01
まるさん、明けましておめでとうございます。えっと、テクノロジーとはつまり、パワーポイントを使うとか、Blackboardを使うとか、コンピューターで何かをするとか、DVDを使うとか、そんな程度のことです。
今年も宜しくお願いします!
Posted by EL at 2007年01月10日 18:21
はじめまして.「アメリカプロフェッサー生活」へのトラックバック,ありがとうございます.テニュア取得の条件が何にせよ,何だかんだと忙しいですよね.

分野も大学の雰囲気も違うようですが,アメリカの大学でテニュアトラックにいる40代日本人として,お互い頑張りましょう.
Posted by Shino at 2007年01月10日 22:56
あけましておめでとうございます。
去年の12月31日から参加させて頂きました。
何の研究されてるのですか?スミマセン、まだ全部読んでません。。。
Posted by kuraimiariba♀ at 2007年01月15日 12:52
>Shinoさん
はじめまして。わざわざお出向きいただきまして、恐縮です。そ、ほんと、何だかんだと忙しいですよね。
今後とも宜しくお願いします。

>Kuraimiariba♀さん
まさか、こんなブログを読みながら年明け、なんてことはなかったですよね(^_^;)
スミマセン、研究内容というか専門分野は実はナイショなんです。メールでお問い合わせいただくこともあるんですが、みなさんにゴメンなさいしてます。なんせ、アメリカのこの分野で大学の教員してるのってあたしくらいしかいないですから。大学名とかバレちゃうと、ココに好きなこと書けなくなっちゃうもんで・・・


Posted by EL at 2007年01月16日 13:05
日本って一度ポジションもらっちゃうとよほどのことがないと安泰みたいなところがある気がします。こちらは継続して業績が評価されないと行けませんよね。Undergraduateの時からスカラーシップとかアワードとかもらっていたりするのって,みなさん堂々とCVに書かれていたりするし。とにかく日本のシステムとは違いますよねぇ。
Posted by emme at 2007年01月20日 08:46
私も日本の大学で非常勤やってたことありますけど、毎日午前中でお仕事終わるのねって言われてました。週10コマって死にそうなんですけど。
Posted by M at 2007年01月28日 12:33
はじめまして。とても読みでがあって、毎日ちょこっとずつ伺うのを楽しみにしています。
40才台で院生しています。博論準備で頭がぐるぐるです。私も大変だけど、ELさんがいるわ!って心のよりどころにしています。
Posted by おんぷ at 2007年02月21日 11:52
はじめまして。今現在人気ブログランキング学問一般で、2つ下の者です。面白そうですね。ブログのお手本にしたいと思います。アメリカの大学院留学はずっと考えています。親戚もいるのですが、いろいろ参考にさせていただきます。ヨーロッパですが、IPrAとか、シカゴ大学のとか、学会誌を読んだりしてます。
Posted by tenmado_skylight at 2007年02月22日 17:51
>emmeさん
一月にコメントいただいてたのに、お返事に二ヶ月かかってしまいました。ごめんなさいm(__)m
えっと、アメリカでは5−6年目にやってくるテニュア審査を通れば“一応”安泰だとは言われていますが、どうなんでしょう?

>Mさん
同じく、ごっめんなさい m(__)m m(__)m
週10コマって、1コマは何時間ですか?1コマ一時間でも死にますっ!

>おんぷさん
せっかくいらしてくださってコメント残してくださったのに、ひと月遅れのお返事で、もうお詫びのしようもありませんm(__)m
こんなあたしぢゃ心のよりどころにしていただくのは恐縮なんですが、がんばってください!

>tenmado_skylightさん
はじめまして。いやもう、こんなゲリラ更新しかできないブログなんでランキングなんてもうどんどんすっとばしてやってください。
Posted by EL at 2007年03月18日 18:42
初めまして!私は(男です)今、アメリカの南部の巨大大学の大学院で博士課程に在籍しています(文系)です!博士の2年目が終わりました!前からちらちらとポストを読ませて頂いていました。僕も本当に色々と苦労しました。だから全てのメッセージに共感できました!お金って大事ですよね・・・。お金が与える精神的負担ってかなり大きいと思いました!僕は修士からアメリカの大学院を始めたのですが、幸運にも財政援助に恵まれていました。でも韓国人の同じプログラムの学生で、全て自費で、毎日お金の事ばかり心配して、学業は二の次、、という感じでした。これからもいろいろな情報を読むのを楽しみにしています。(ポストを読んでいく内に、研究分野が似ているような気がするのですが、、もしかして・・って思いました。)
Posted by brasil at 2007年05月07日 04:15
brasilさん、ようこそ!
こんなに更新してないブログに来ていただいて、恐縮です(;^_^A
ほんと、お金の心配(あまり)しなくてよかっただけラッキーだったと思います。
研究分野似てますか?南部の巨大大学の大学院にうちの専門あったっけ???あ、ありますあります。ふ〜む、どうでしょ、もしかして、もしかするかも?(^_-)-☆
博士号取得、がんばってください!
Posted by EL at 2007年05月08日 15:14
ELさん、はじめまして!
昨年8月からカリフォルニアで食品科学・栄養学のアシスタントプロフェッサーをしている日本人です。38歳、女性、子持ちです(現在14ヶ月の娘がいます)。テニュアトラック1年目がそろそろ終わろうとしてます。ほっ。ELさんのようなたくましい日本女性がアメリカで教員をしてらっしゃるのを知り、とても心強く思います。お互いテニュアめざしてがんばりましょー。
Posted by Keiko at 2007年05月15日 14:40
Keikoさん、うえるかむ♪
うわっ、なんだか同年代で同じ境遇の方たちがどんどん集まって来てくださって、嬉しいです。栄養学とはこれまた変り種!
実はウチの大学にはテニュアというシステムがなくて、別の名前でそれと同じようなシステムがあるんですが、ほんと、お互いがんばりましょう!!!
Posted by EL at 2007年05月23日 22:19
再びこんにちは。ず〜っと最初から読んでいました。で、なんと、ELさんも大阪出身ですか!!僕も大阪です!北摂の豊○市です。更新、楽しみにしています!!今年の夏もみっちりサマーコースをとります(指導教授に無理矢理、とれ、と言われました)。更新を楽しみにしています!
Posted by Brasil at 2007年05月24日 00:32
>Brasilさん
コメントのお返しするのに3ヶ月もかかってしまいました(大汗)
豊○市ならよ〜く知ってます(^_-)-☆
サマーコースはいかがでしたか?
更新全然してなくてホント申し訳ないですm(__)m
Posted by EL at 2007年08月23日 17:45
はじめまして。結構まえからひそかに読んでおりました。こんなこと言われて不安でしょうが、ELさんをロールモデルとして来年か再来年には是非教職を・・・と思っています三十路phD生@アメリカです。
8月から書き込まれてないので少々不安になっております。生きているかどうかだけでもアップしてくださいませ。
Posted by ぬぼー at 2007年09月21日 14:10
はじめまして。私はカナダの三十路院生です。将来的には日本で就職(ELさんの最初の頃の目標と同じ理由から)を目指していますが、Ph.D.取得後、北米で経験を積んだほうがよいのかなあ・・・と考えつつ、時々、こちらを拝見して大いに参考にさせてもらってきました。ぬぼーさんも書いておられますが、私も勝手にELさんを自分のロールモデルにしています。

ELさん、お元気ですか。アップされていないのは、お忙しいためでしょうか。それとも、日本上陸を果しているとか??? 

とにかく、いつものようにELさんが溌剌と研究・教育・生活を楽しんでいらっしゃることをお祈りしています。
Posted by みるみる at 2007年10月18日 04:02
ELさん、今年の初めに「ジンクスを体現したPh.D candidate」として書き込みしました者です!D論完成まで秒読み態勢(勝手に自分で秒読みしてるだけ、周りはまだまだ先だろうと思ってるみたいですが)に入りました。更新されてるかなーと思ってちょくちょく来てるんですが、どうなさったんでしょう?心配です!お元気なら良いのですが。。。ベルギーから応援しています。
Posted by Karine-K at 2007年12月03日 18:29
アメリカの中西部で理系PhDを取得後、日本で助手をしていましたが、米つきバッタのように大先生方にぺこぺこする人生に疲れてアメリカにポスドクで戻ってきた者です。だれか老人先生の介護をしてくれる人を雇ってくれたらと思います。
私もアメリカでのポジションを目指そうと思っており、参考にさせていただきました。
Posted by やっさん at 2007年12月16日 00:40
>ぬぼーさん
コメント、3ヶ月前に、ありがとうございます。んでもって、こんな3ヶ月もたってからお返事、ごめんなさいm(__)m
こんなあたしをロールモデルになんてして、ぬぼーさん大丈夫ですか?(^_^;)
あ、はい、生きてます生きてます!!!
でも、今の状況をアップしたらぬぼーさんの夢を壊してしまうかも・・・

>みるみるさん
いらっしゃいませ♪ すみません、こんな放置ブログに来ていただいた上にコメントまで残していただいて(;^_^A
みるみるさんはカナダなんですね。カナダか〜、はぁ〜、あ、いや、ちょっとカナダにはワケありなんですが、近いうちにできればワケを書きたいな、と。
教育・研究・生活を楽し・・・みたいです(しみじみ)

>Karine-Kさん
はい、覚えてますとも!
秒読み態勢ですかっ。周りがどう言おうが秒読み始めたモン勝ちですから。あと3ヶ月だって秒にしたら、えっとえっと7776000秒だし(え?フォローになってない?)
そんな秒読み態勢のときにあたしのことなんて気に掛けてくださって申し訳ないです。
近いうちに近況がアップできれば・・・

>やっさんさん
こんなブログで参考になりますでしょうか?(^_^;)
米つきバッタ(笑)
アメリカのうちの分野なんかでは、いったんPhDとってファカルティーになっちゃえば、フルプロフェッサーだろうがアソシエイトだろがアシスタントだろがみんな同僚♪って感じになるのでペコペコしなくてすむのが助かります。その分業務分配も容赦なかったりしますが・・・


Posted by EL at 2007年12月17日 04:58
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