2005年04月20日

仰げば尊し

あたしの博士論文CommitteeのChairのD先生(D先生について詳しくはこちら)からメールがありました。


「B大学からのオファーを受けることにしたから、近いうちに会って僕がいなくなるまでに論文どこらへんまでできるか相談しよう。」


ふた月ほど前にB大学に面接に行った(アメリカではもう教授の先生だって面接でプレゼンしたり授業教えたりしないといけないみたいです)とD先生から聞いていてカクゴはしていたけれど、
D先生にとってB大学に行くことはとてもハッピーなことだとわかってはいるけれど、

はぁ〜〜〜サビシイな・・・失恋

D先生はDepartmentのChair(学部長?学科長?)でもあるんだけど、

「もうそういう管理職でゴチャゴチャするのは疲れた、もっと研究と教職に専念したい、"普通の大学教授に戻りたい"」
とのたっての希望が実現してのこと。


このD先生とはもう15年くらいのつきあいになる。
豪雪地帯の大学院修士を卒業して日本に帰るときに"Don't just dissapear.(日本に帰って消えちゃうなよ)"と言ってくれて、その言葉を胸にあたしはここまで来た。
あたしが今の大学院の博士課程に来たのと同じ年にD先生もこの大学院に転勤してきて、あたしのこと丸抱えで面倒見てくれた。

この先生の対人関係での着かず離れずの距離感があたしにはとても心地いい。
他のアメリカ人には「お高くとまってる」とか「何考えてるかわからない」とかって印象を与えるみたいだけど。
本当にさりげなくあたしの前に道をつけてくれて、あとは遠くからあたしのことずっと見守ってくれてた。
あたしが立ち止まっても、転んでも、ずっとどこかで見てくれてた。
あたしが一人でできないときは、すっと手を差し伸べてくれた。

博士論文が全然進まなくてD先生に見捨てられるんじゃないかってドキドキしていたときも、
「君の学位だからね」と言うだけで、あたしのこと押すでもなく引っ張るでもなく。
それを"冷たい"と感じる人もいるみたいだけど、あたしにはとてもありがたかった。

博士論文CommitteeのChairがいないくなるというのは本当なら一大事だけど、学部再編成でD先生の学部はうちの学部とは違ってしまって、その時点でうちのプログラムからCo-chairを立てたので、D先生がいなくなってもあたしの博士論文の手続き上はそれほど影響はない。
でも、この博士論文研究はD先生とずっとやってきたものだし、D先生の元で仕上げたかった。
本当はあたしの学位授与式でD先生にフードをかけてもらいたかった。

そうメールで伝えたら、

「君にフードかけられたらどんなによかったことか。でも、君とはこれからもずっと研究を続けて行くだろうし、君のキャリアがある程度進んだ時点でB大学に招待することだってあるかもしれないから。」
"You have much to offer the field."

いったいあたしの何を見てそこまで言ってくれるんだろう?
でも、こんなにまであたしを信じてくれる人がいるなんて・・・もうやだ〜(悲しい顔)

D先生がいなくなる前に論文のディフェンスができるようにがんばってみよう。
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posted by EL at 23:59 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日々の泣き笑い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
大学・学問関係のブログのリンクをたどってきました。
カナダの大学院でもうすぐ心理学修士を取ろうとしているところです。
今年の秋から博士課程に入れればいいのですが・・・。

私なんて院生でもまだまだ未熟者ですが、これまで何度も学生をやめてしまおうと思ったことがありました。こんなに大変な思いをしたりストレスをためてまで、自分はいったい何をしているんだろうと。自分なりに頑張っているつもりでも、結果が目に見えず、自分はなんてダメ学生なんだと思うことも何度もありました。それでも、アドバイザーやパートナーなどに励まされ、なんとかここまでやってきました。
自分でも気づかないことが多いけど、見てくれてる人はちゃんと見てくれてるんですよね。その人達の期待に応えようと、頑張りすぎてまた凹むこともあるのですが・・・。でも、時には凹んだり、そしてそこから立ち上がったりしながらいろいろと経験を積んでいくんじゃないでしょうか?自分のやっていることを信じて進んでいけば、その経験って決して無駄にはならないと私は信じています。

何だか話がわけ分からなくなってきましたが、お互い論文のディフェンスの準備を頑張りましょう!のあいさつでした。
(修士と博士では準備の量も全然違うと思いますが・・・)
Posted by はぐお at 2005年04月21日 07:40
昨日コメントを入れたつもりだったのですが、入っていませんでした・・・。先日はメールありがとうございました。大学院でクビ?の話を読んで、ドキドキしてみました。
D教授の件は、とても残念ですね。でも、そこまで一生懸命応援してくれる先生がいること、羨ましいです。でもきっとそれは、それだけ信頼してもらう努力をELさんがしたということなんだな、と思います。わたしもそういう方に出会えるよう、というより、そういう方に信頼してもらえるようがんばらなくちゃな、と思います。論文のディフェンスの準備、大変そうですががんばってください。
Posted by yumiko at 2005年04月22日 01:03
>はぐおさん
いらっしゃいませ&コメントありがとうございます。
そうそう、見てくれる人はちゃんと見てくれてるんですよね。
修士論文がんばってください。

>yumikoさん
コメントぶっとんじゃったんですか?!seesaaに代わってごめんなさいm(__)m
論文は実はディフェンスにはまだほど遠い段階なんですけど、とりあえずがんばってみます。
Posted by EL at 2005年04月22日 12:12
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