2006年08月06日

博士論文指導はボランティアじゃないけれど

トラ猫さんのところから引っ張ってきた話題です。

砂漠の博士課程の大学では、博士論文は基本的にはCommitteeのChairの先生と進めて行って、他3名のCommittee Memberの先生たちは時々学生の質問に答えるくらいで、後はプロポーザルとディフェンスのそれぞれに出て審査&フィードバックをする程度の関わりです。いやまあ、統計の苦手なあたしの友人なんかはMemberの中の統計が専門の先生にベッタリだったりしてましたが(苦笑)

それで、あたしの場合ChairがD先生の時代には週一回のペースで時間取ってもらって、全然進んでない時なんかD先生忙しいのに申し訳ないふらふらって思ったりもしたんですが、よく考えたらこっちは"Dissertation"という授業単位を毎学期履修していた(=お金を払っていた)わけなので、まあこれも先生の仕事だろうから、と自分で自分を納得させていたわけです。
ところがD先生がいなくなってM先生になってから、Dissertationの単位をM先生に何単位登録するかがややこしくなってM先生に相談したら、「私は別に何単位でも構わないわよ。Departmentには関係あるけど私には直接関係ないし・・・」というお言葉。
これを聞いてあたしの頭の中で?が飛び交ったのは言うまでもありません。

それ以来ずっと謎の博士論文指導だったわけですが、今の勤務先の大学で指導をする側になってやっとその仕組みが少しわかってきました。
しかもトラ猫さんのところで「ボランティア」だと言い放っている先生の気持ちがなんとなくわかったりもしてしまいますたらーっ(汗)

ちなみに、あたしの場合はアメリカの大学の話で、しかも他所の大学のことはよく知らないので、今の勤務先の大学だけのことかもしれませんが・・・

厳密に言えば博士論文指導はもちろん「ボランティア」ではありません。立派な仕事のうちなんです。
ただ、今の勤務先の大学の教員の立場から言えば、仕事の一番大きな割合を占めるのがTeachingで、昇進の一番大きな割合を占めるのが著書やグラントなので、Teaching Load(担当授業数)を減らして研究の時間を増やしたいと思うのが人情(?)なんです。

Teaching Loadを減らす方法としては、Administrativeの仕事をする、つまりプログラムのディレクターをするとか、大学内に星の数ぴかぴか(新しい)ほどある何ちゃら委員会の役職をするとか、学外のグラント取ってくるとか色々あるわけなんですが、博士論文の指導は授業一つ分として認めてもらうには学生5人分のCommitteeのChairを勤めないとダメなんです。しかも、学生一人につきTeaching Load減らし恩赦(?)に申請できる指導期間は2年。つまり、その学生が博士論文に2年以上かかったらいくらChairで指導をしてても余分な仕事になるだけでTeaching Loadには全く関係ないんです。嗚呼D先生ごめんなさいふらふら

それから、ただのCommitteeメンバーの場合はTeaching Load減らし恩赦には全く関係なし。今思うに砂漠の博士課程の先生たちはきっと一人で10−20人の学生のCommitteeメンバーを勤めてたりしてたんでしょう。そうなるとChairでもない限り直接論文指導に関わりたくない(若しくは関われない)気持ちがよう〜っくわかります。しかも、直接指導に関わらないと学生がその博士論文をパブリッシュする気になっても大手を振って一著者として名前を入れてと言えない悪循環。

そういえば砂漠の博士課程の某先生が何年も前ににChairを勤めた学生がまだ論文を出版してない、とお怒りでした。せめて学生の論文に乗っかって著書の数でも増やさないことにはやってられっか、という気持ちも何だかよくわかってしまいます。というか、Chairの場合はそれだけ学生の論文に時間も知識もアイデアも費やすわけですから、その論文を投稿する時に第二著者として名前が入るのは当然の権利。あたしも自分の論文早く投稿しなきゃたらーっ(汗)

そんなわけで、先学期には学生3人のCommitteeメンバーをやったんですが、死ぬほど忙しい中で100ページも200ページもある論文(当然英語)を一晩かけて読んでたりすると、これも仕事のうちとは言え、何やってんだあたし犬という気持ちにもなってしまうわけなんです。
それでも出来のいい論文ならいいんですが、しょーもない論文を読まされた日にゃあ・・・パンチ
この話はまたいずれ。

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この記事へのコメント
あまりにも間が開いていたので、もうやめてしまったのかと思ってました。続いていて良かったです。

うちのアメリカの大学ではcommitteeのメンバーになるのはどうやらとても良い事のようです。みんな「入れてくれないの?」と先生の方が院生に言ってました。もしかしたら、その大学のシステムはメンバーでも恩赦が出るのかも。

うちの日本の大学。「ボランティア」と文句を言うなら、さくさくとスケジュールを組んでどんどん学生を追い出せばいいんですっ!!院生は学位が欲しい人ばっかりなんですから!
Posted by トラ猫 at 2006年08月07日 15:19
うちの大学も、Committeeになるのはかなりプラスなようです。特に若い先生となると、tenureを取るのにも関ってくるのだとか。research universityだからでしょうか。
Posted by 院生A at 2006年08月07日 23:34
>トラ猫さん、院生Aさん
砂漠の博士課程はResearch Unviersityでしたが、Committeeのメンバーに入れてって頼まれたこともないし、こっちから頼んでも、忙しいからって断られたこともあるし・・・? 今度、メンバーになるとどういう“特典”があるのか訊いてみますね。

Posted by EL at 2006年08月14日 03:00
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