2006年02月25日

採用側から見た教員採用プロセスその1

肉体労働でこき使われている中、教員の新規採用の応募書類に目を通してランク付けをしなきゃいけなくて、他の先生が2時間くらいでやっつけたらしいと聞いてそんなもんかと余裕かましていたら、結局とある週末の丸一日がつぶれてしまいましたもうやだ〜(悲しい顔)

2時間でやっつけた先生の評価表を見たんですが、何だか初めから意中の人がいるみたいで、それ以外の応募者たちの応募書類はカバーレターとVitaにちょこちょこっと目を通した感じで、著書(投稿論文)なんて読んでないんぢゃないかい?!てな感じで・・・

Search Committeeですが、うちのプログラムはあたしを含めて教員が全部で5人しかいないので、結局全員でCommitteeをやることになりました。
応募者は10人ちょっと。少ないんじゃないかという懸念もありましたが、あたしが仕入れた内部情報によると他所の大学のプログラムで公募してるところも応募数はそんな程度のようです。どうやら今年はポジションがいっぱいありすぎて応募者が散らばったようです。

なんせあたしには初めてのことなのでこういう人がいいっていう基準がないもんで、まずは全体のカバーレターと履歴書と推薦状ざざーっと目を通して、こりゃいいグッド(上向き矢印)ってのからこりゃまだまだバッド(下向き矢印)ってのまで、大まかなランキングの基準(ものさし)を自分の中に作りました。
それから一人一人の応募書類に細かく目を通して評価表に記入していきました。

Assisstant Professorのポジションなので新卒さんか、あるいはあたしみたいにABD(All But Dissertation)さんたちが多くて、研究業績の面では目を見張るほどの人はいませんでした。
それでもやっぱりPublicationが一つもないとなるとう〜ん犬と唸ってしまいます。
あたしのここ半年の経験から言うと、今の勤務先の大学は研究に関して大学側からのサポートは全くと言っていいほどないし、逆に日々感じるようなプレッシャーもありません。だから日々の雑務に簡単に埋没してしまいがちなんですが、うちは博士課程もあるし、昇進には“Scholarly Work”が必要なので、“研究マインド”のない人がサバイバルするのはかなり難しいと思うんです。
それにココでその“研究マインド”が育つ環境ではないのでちゃんとそれを身に着けてからココに来ないと・・・とも思うので。

Publication もFirst Authorでなくて単に指導教官の“お手伝い”をして2番目とか3番目に名前を入れてもらっただけ、てのが垣間見えちゃったりするのもありました。ちゃんと自分で研究できますよっ、というのがどこかに出ていると強い手(グー)です。
それからうちの分野なんかでは“研究”でなくても投稿論文ができちゃったりするのですが、そういうのもあたしは専門誌名でわかってしまうので“数稼ぎ”の内情が見えたりしちゃいます。いやまあ、何もないよりはマシですが・・・
本人が主著者の研究がトップクラスの専門誌にpublishされているとかなり目をひきますが、専門誌がトップクラスかどうかというよりはこのレベルだと主著があるかどうかの方があたしには重要に見えました。

応募者の中に研究業績でちょっと抜きん出てる人がいたんですが、その人のカバーレターを見るといかにも“大量生産”丸出しのカバーレターで、うちの大学向きに書いたカバーレターじゃないのがミエミエな人がいたんです。
公募要綱に募集条件がちゃんと書いてあるのに、それに関して一切ふれてないし。あたしのランキングではその人は最下位でした。やっぱりこの大学で働きたいexclamationって熱意が感じられないと、と思うわけで。

あとは推薦状は応募者さんの人間性なんかを垣間見るのに役立ちました。本当にその応募者さんのことをよく知っている人からの心のこもった強い推薦があったりするとGood手(チョキ)に感じられました。
中には応募者さんの所属大学院のプログラムのディレクターさんからの推薦状に「彼女はそちらの州の出身で卒業後はそちらに戻りたいと強く希望しています。私のディレクターの経験からすると、手間隙かけて採用した人に1−2年で辞めてしまわれるのが一番困るのですが、彼女の場合はそういうことはないので(推薦します)」というのがあったんです。それもまあ確かに大事な要素ではありますが、それ以外にその推薦状には強い推薦の理由が見えてこなかったので、これもちょっとあせあせ(飛び散る汗)

そんなわけで何とかあたしの評価表記入の作業は終わって、次はCommitteeがみんなで集まってどの応募者を面接に招待するかの会議をしました。
この会議ではそれぞれの先生の違った着目点なんかが垣間見れておもしろかったです。

つづく。
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この記事へのコメント
私もつい最近Search Committeeの仕事で書類読みに計4時間ほどかけました。その後はショートリスト選びに2時間半の白熱議論。それでも、これで3回目のSearch Committeeの仕事で、だんだん慣れてきました。私たちがどういう人がほしいのかをしっかり理解し、それを念頭に書類を読み進めていって、メモをしっかり取る。カバーレターとか履歴書も大切だけど、推薦状に見られる推薦者の「気合の入り方」を見抜くのも大事だと思います。それにしても、日本から来る推薦状ってどうしてあんなにいつも同じパターンなんでしょうか。
Posted by hanako at 2006年02月26日 12:13
分野によってかなり違うみたいですね。

応募数は 3桁で、それを学部長が20くらいにしぼります。そこから search committee が面接に招待する10人+くらいを選びます。

カバーレターに文法的な間違い、スペルミスがあったらほぼ致命的です。あとは、決め手はやっぱり推薦状ですね。
Posted by びい at 2006年02月28日 23:23
>hanakoさん
日本から推薦状が来ることはまずないですが、何か想像がつく気がします、型通りで中身のない推薦状(^_^;)

>びいさん
応募者3桁!!面接招待10+!!!
いやもう、まさに桁が違います。うちの分野なんか、今年アカデミアで就職活動をしている人全部合わせても2−30人しかいないんじゃないでしょうか・・・
Posted by EL at 2006年03月19日 03:08
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