2010年01月06日

在米アジア人よ立ち上がれ!

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ちょっと見にくいかもしれませんが、このグラフたちをよーくご覧ください。さて、何が見えましたか?

今となってはもう3年以上も前のことになるのですが、80−20 Educational Foundation というアジア系アメリカ人の雇用機会均等やジャスティスを支援する団体が、2006年9月6日のワシントンポストに出した広告の一部です。この広告全体はこちらで見られます。

この広告の内容については、デラウェア州のTom Carper上院議員によって連邦議会でも読み上げられ、連邦議会の正式記録として残されました。その様子のビデオはこちらで観られます。


このデータのまとめを一言でいうと、
全米平均に比べて、アジア系はグループとして、教育レベルが一番高いにもかかわらず、管理職に就ける可能性は一番低く、他のグループに比べてその可能性が上がっていくスピードは一番遅い。

ということです。

いやしかしコレはあまりに酷い足

大学の管理職(赤色のグラフ)になれるチャンスをみたら、他のグループはほぼ平均レベルかそれ以上なのに、アジア人ときたら国平均の半分以下。つまり、あたしの同僚(白人)が大学の学長とか学部長になれる可能性を1とすると、あたし(アジア人)がそのレベルに達する可能性はたったの0.4exclamation

ところが、二つ目のグラフを見ると、アジア人の教育レベルというのは他のグループに比べて飛びぬけて高く、博士号を持つアジア系アメリカ人は平均の2.5倍近くひらめき

ということは、博士号を持つ人がみんなアカデミアに入るわけではありませんが、アジア系はたとえアカデミアに入っても、大半がヒラのファカルティーで終わる、ということ・・・がく〜(落胆した顔)


データによれば、アジア系の管理職に就ける可能性が平均レベルに達するのには、このペースで行けばあと75年もかかるそうです爆弾


これをアジア人に対する「差別」と見るか否か。
あたしは自分の経験からも、このデータはアメリカでのアジア系に対する差別を表したものだと思いますパンチ
差別を否定する意見のいくつかに対して、80−20はFAQで答えていますので、コチラをどうぞ。

謙虚でチームワークを大切にし、自己主張をせず、自分犠牲をいとわず、不平を言うこともなく、従順で忠実に組織のために尽くすアジア人は、アメリカの組織にとっては絶好の労働要員です。

しかし、自分の意見を明確に表現し、討論の場では相手を打ち負かすことができ、自分の業績を周囲に誇示する能力に優れ、Yes/Noをはっきり言い、自分の非を認めずそれを正当化することができる、というのがリーダーシップに必要な素養だとされるアメリカの組織では、そんなアジア人はリーダーシップに向かないと思われるのです。

そもそも、外見だけを取っても、大きな白人は自信があって信頼できるように見えて、小さなアジア人はオドオドしているように見えませんか?

よくリーダーシップに必要なのはカリスマ性だと言われますが、カリスマって一体何だろう?って思うんです。だって、アメリカにカリスマ性のあるアジア人ってほとんどいない気がするんですが・・・犬

アジア人がアメリカでリーダーシップのポジションに就こうと思ったら、アジア人であることを捨てなきゃならないのが現実のような気がします。アジア人として育ってきた中で教えられて身に着けてきた大切なことを捨てなければ・・・


「自分の経験から」と言いましたが、今の職場でも目の当たりにしているんです、このアジア系に対する差別の現実を。このことはまたホトボリが冷めた頃にもう少し詳しく書こうと思っていますが、白人の男性ファカルティーには初めから用意されているポジションが、アジア人の女性ファカルティーにはハナっから「彼女には無理だ」と決め付けられているんです。


そんなわけで、アメリカのアカデミアにおられるアジア人ファカルティーもしくは、それを目指して博士課程で頑張っておられる皆様、管理職にはつきたくないというアカデミアンが多いのは重々承知しています。でも、この「差別」を無くすためにも、どうか管理職を目指してください。そして、管理職になったら、次の世代のアジア系アカデミアンがアジア人であることを捨てなくてもリーダーシップのポジションに就けるように、組織を変えて行ってくださいm(__)m


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posted by EL at 22:00 | Comment(5) | TrackBack(0) | 我思ふ処 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。この統計、すごく興味深いですね。アメリカの大都会の公立大学で非常勤をやったりしつつ博論を書いています。そうこうして、この業界の周辺部に何年もいると、すごくよく聞きます。アジアンアメリカン女性というよりはアジア系女性(もと留学生)で、とりあえずファカティーとして採用されて、職務もまっとうにこなしているのに、なぜか3年次、もしくは6年次のテニュアリビューで学校を去ることになるケースの話を。。。業績があっても意味不明のポリティックスで。大学側としては、とりあえずファカティーの多様性を増やしたことにはなるし(一応マイノリティーカード2枚)で、従順そうで文句いわなさそうで、使い勝手がよさそうで採用はするけれど、でも何か都合が悪いと真っ先に矛先が向くという、、、何なんでしょうかね。この不景気で公立大学は新規採用をフリーズしていて、サバティカルも減ってリプレイスメントポジションでさえないご時世に、就職をやっとこさつかんだあげく、たった3年であっさりクビというそんなにストレスフルな状況になるんじゃあたまりませんよねえ、ああ、恐ろしい。長いトンネルを歩き続けて論文を書き上げてようやく出口が見えてきたら、魑魅魍魎だらけだなんて。ひー。とりあえず論文の結論を書いてからおびえようっと。またこのブログに遊びにきたいと思います。
Posted by 大学末端労働者A at 2010年01月22日 03:40
>大学末端労働者Aさん
こんな気まぐれブログにようこそ。
そうそう、所詮トークン・マイノリティーなんですよ、我々は。そのくせに業績があると余計鼻につくのかもしれませんねぇ。というか、あたしの経験ではアジア系の女性ファカルティーは業績を作ること自体が、この社会では難しいようにも思います。他人を思いやるとか、自分を犠牲にするとか、協調性とか、そういうことを叩き込まれていると、業績につながらないサービス業務とかに果てしなく巻き込まれてしまいがちなので。
あ、いや、とりあえず、頑張って論文仕上げてください(^_^;)
Posted by EL at 2010年01月24日 17:23
こうしてデータとして、グラフとして観たら
非常に興味深いですね。参考になります。
Posted by 家庭教師 at 2010年05月17日 21:09
こんにちは

アメリカの大学に出願する際にもアジア人には高いハードルが課されていて これは差別ではないかと論議を呼んでいるようですよ

http://news.yahoo.com/asians-college-strategy-dont-check-asian-174442977.html

Posted by seashell at 2011年12月08日 07:33
やっぱ 八百屋コンプレックスで がんばれた!
Posted by ぷ at 2012年07月05日 20:52
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