大切な人を失いました。
「サビシイ」のひと言が言えなくて「いつ帰る?」を繰り返していたあの人。
それを聞く度に、進まない論文、がんばっていない自分に情けなくなって、追い詰められて行ったあたし。
そんなところから生まれたすれ違い。
いくら話し合ってもいくら向き合っても、また同じ所ですれ違う。
逢えない日々。見えない気持ち。
喧嘩しては仲直りしてまた喧嘩の繰り返し。
気がついたら二人の間には楽しさよりも辛さの方が多くなっていました。
大切な人を失いました。
朝起きて真っ先にパソコンを立ち上げ"おはよう"のメールを送る相手はもういません。
仕事から帰って「ただいま」を言う相手はもういません。
他愛もないことを毎日日本語で話せる相手はもういません。
電話も鳴らなくなりました。
夜仕事を終わらせて急いで帰っても、パソコンの向こうでメールを待っていてくれる人はもういません。
日本であたしの帰りを待っていてくれる人はもういません。
去年の暮れには帰るはずだったのに、それがズルズル伸びて未だに目途が立たないままのあたし。
淋しさにもうこれ以上は耐えられないと、傍にいてくれる人のところへと去っていくあの人を、引きとめることはできませんでした。
言いたいこと話したいことが次から次へと溢れてきます。
だけど何も言わない。言っちゃいけない。
もうこれ以上、あの人をあたしの夢の巻き添えにして苦しめてはいけない。
あの人を行かせてあげなきゃ。
それが、あたしにできる最後のたった一つのこと。
大切な人を失いました。
届くはずのないメールを何度もチェックして、残っているはずのない留守電を何度もチェックして、
そんな日々がこれからしばらく続くのでしょう。
これでよかったんだ、そう自分に言い聞かせる日々がこれからしばらく続くのでしょう。
こんな思いをするのがあたしでよかった。
サビシイのはあたしだけでいい。
だけど、これからあたし、どうやって頑張ればいい?
何のために頑張ればいい?
この夢のために、あたしはいったいどれだけのモノを失えばいいんだろう。
これから先、たった一人でどうやって歩いていけばいいんだろう。
【ちょっとひとやすみの最新記事】