アメリカの歴史的な日。
あたしは専門バカで、世の中の政治・経済の動きについてはもう胸を張って疎いと言えるので(をい)、下手なことココに書いて恥を晒さないようにしようと日頃から心がけてはいるのですが、それでも書かずにはいられないくらい感無量な気持ちで今日のこの日を迎えています。
アメリカに住んで、かれこれ15年近くになるんですが、あたしはいまだにアメリカ市民でもなければ、永住権もなく、したがって当然アメリカでの選挙権もありません。
アメリカに税金は納めているけれど、陪審員の義務は果たさなくていい立場です。
アメリカ入国時にはいつもハラハラドキドキ、嫌な思いもするけれど、イザとなったらアメリカを捨てていつでも日本に帰ることができる身分です。
そんな言ってみれば都合のいい立場のあたしですら、このアメリカでマイノリティーとしてツライ思いをたくさんしてきました。
だから、少しだけれどわかる気がするんです。
白人男性以外がこのアメリカ合衆国という国で大統領になることがどういうことか。
黒人が大統領になるということが一体どういうことなのか。
そういうことに思いを馳せると、涙が溢れてきます。
去年、たまたまテネシー州のメンフィスに行く機会があって、Civil Rights Museum を訪れました。
黒人市民権運動の指導者、キング牧師が暗殺されたモーテルが博物館になっていて、その博物館では黒人市民権運動の歴史に関する展示をずーっと辿って行って、最後にはキング牧師が泊まっていたモーテルの部屋で終わるようになっています。
この国は、本当に、本当によくここまで来た・・・
11月4日のオバマ候補の勝利演説を訊くまで、オバマがどんなに優れた人物であったとしても、この国が黒人を大統領に選ぶなんてあり得ないと思っていました。
そのあり得ないと思ったことが起こったんです。
女性が選挙権を獲得したときもこんなだったのかな。
この先、女性の大統領も誕生するのかな。
あたしが生きてる間に、日本で女性の総理大臣が誕生する日が来るかな。
いつか、日本で在日韓国・朝鮮人と言われる人が総裁に選ばれる日が来るかな。
そんなことを思います。
去年の州民投票で、絶対に許せない条例が通ってしまって、投票権がないのが今本当に悔しいです。
だから今度、日本の在外選挙人登録というのをしてこようと思います。
今まで片手の指で数えるほどしか選挙には行ったことないけど(恥)
アメリカの投票権は、市民になるつもりがないのでこの先も手に入ることはないと思うけど、せめて今のあたしに権利として与えられている日本の選挙権は無駄にしないでおこう、と今更ながら思いました。かつての人々が血と涙を流して勝ち取った権利を無駄にしてはいけない、と。
黒人の大統領が生まれたからといって、この国から人種差別がなくなるとは思いません。
社会に組み込まれた差別の構造は根深いし、人々の持つ偏見というのは本当に根強いし、時代が進むにつれて、それは人々の無意識下に押し込められて、ますます厄介に、フクザツになっています。
人種差別だけじゃなくて、性差別、セクシャルオリエンテーション差別、老人差別、障害者差別、他にも色んな差別があります。
人が人として生きる以上、誰も傷つけずに生きるのは本当に難しいことなんじゃないかと思います。
でも、だからこそ、相手の“痛っ”という声を、表情を、たとえそれがどんな小さな声でも、どんな一瞬の表情でも、聞き逃さないように、見逃さないように生きたいと思います。
でも、ムヅカシイ・・・
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