2005年12月30日

今年のCurseは今年のうちに

少し前に学生関係のことで大変なことに巻き込まれてると書いて、渦の真っ只中だったので詳しくは書けませんでしたが、とりあえず潮は引いたようなので、今年のCurseを来年に引きずらないように締めくくっておきたいと思います。

ことの初めはあたしが勤務先の大学で授業を教える以外に初めて携わった公の業務、博士号取得資格試験のペーパーの採点でした。
教員が二人チームになって各チームにランダムに割り振られたペーパーを個別に採点して、二人の採点をつき合わせて合否が一致しなければ第三のリーダーをつける、というシステムになっています。
ところがたまたまあたしに割り振られた二つのペーパーが一つはかなりヒドイ出来で、もう一つはう〜んもうひとがんばり、という感じだったので二つともボツにしたんです。
そうしたら、あたしとペアになった相方の先生もやっぱり二つともボツ、ということで第三リーダーなしに二人の不合格が決定しました。ペーパーは無記名なので誰のペーパーなのか採点者には(原則として)わからないことになっています。
不合格者は半年以内にまた試験を受けるチャンスがあって、砂漠の大学の博士課程のようにこの試験に2回落ちたら博士課程クビ!なんてこともありません。

そして事が起きたのは合否が学生たちに通達された次の日。

乗り込んでこられました。そのヒドイ出来のペーパーを書いた本人に。しかもウソをついて・・・
その日の朝何だか知らない人からオフィスに「今日の午後会いたいんですが」という電話があって、「今日は忙しいからできれば明後日の方がいいんだけど、どういう用件?」と訊いたら、「先生の教えてらっしゃる理論のことでちょっと質問があって、今日丁度そちらに行く用があるので、15分でいいですから」とその学生らしき電話口の相手。
そういうことならまぁいいかと承諾して、うちのプログラムの秘書さんに調べてもらったら、どうやら別のキャンパスの学生らしく遠くからわざわざ、やってきましたその日の午後、ダンナと一緒に。
いやまあ、相手が二人だろうが三人だろうがそんなことでビビるあたしではありませんし、そもそも15分で済む質問をしに来てるわけだし(とあたしは思ってたんです)。
ところが、オフィスに招き入れて座るやいなや、資格試験のペーパーを取り出してあーでもないこーでもない、とその学生は始めました。
あたしがボツにした理由を説明しようとしても全く聞く耳持たず、というか採点に対する不服というよりは、試験のプロセスに対する文句があるようで、そんなこと言われてもあたしが作ったプロセスじゃないし(とは言いませんでしたが)、隣に座っているダンナは「法的な手段も考えてますから」と一言。
(あー、そーですか、お好きにどーぞ)と心の中では思いつつ、あーでもないこーでもないを繰り返してこっちの話を一切聞かないその学生に、途中で「一体あたしにどーして欲しいと?」と何度訊いても要領の得た返事は返って来ず。
1時間半ほどたってようやく、「これに合格しなかったら今の仕事ができなくなるので、どうしても今回合格しなきゃならない。だから、あたしは次回再受験ではなくて書き直して再提出させてもらえるべきだ!」という開いた口が塞がらないようなその学生の言い分がやっと理解できました。

そんなことはあたしの独断で決められないというのをやっと何とか理解してもらって、その学生は不服そうに帰ってゆきました。

そもそもこの試験のシステムは学生に前もって充分説明されているはずだし、書き直しナシってのもわかってるはずなのに。それに、その学生のペーパーは部分的な書き直しで何とかなるようなレベルじゃないっていうのが、どーしてもその学生には理解できない様子。
必要な単位を全部履修した(=高い学費を払った)んだから博士号が取れてしかるべきだ、と思っているところがそもそもの大きな勘違い。そんな簡単に博士号取れるんなら誰も苦労せんわいっ!もうやだ〜(悲しい顔)

その後、この学生が周りの学生の感情を煽り立てて、そっちのキャンパスでは学生の怒りと不安に巻き込まれた教員たちがオロオロしている様子がこっちのキャンパスにも伝わってきました。
そういうのに煽られる他の学生も学生ですが、巻き込まれる教員も教員・・・(-_-)

そして数日後、新たな事実が発覚!
あたしに会いに来たその学生があたしとの会話を録音したと別の先生に漏らしたんです。驚いたその先生がその学生に念のためもう一度確認すると、あたしの許可なしに録音したというのをしゃあしゃあと認めたそうです。それであたし(の英語)が「何言ってるのかわからなかった」とか言ってるらしく、オマエの方が何言ってるのかわからんかったわいむかっ(怒り)とその時点であたしキレました。
そのテープを「法的な手段」に使おうとしたのか否かは不明ですが、たとえそうなっても困るような発言はしてないし、そもそもそれって違法じゃないですか?!
というわけで、ちょっとネットで州法を調べてみたら、その場にいる人全員の許可なく録音するのは、その行為自体が法に触れる可能性がある、と。
うちのプログラムのディレクターも他の先生たちも憤慨して、大学の法律顧問の弁護士さんに相談することに。

この間、その学生の弁護士からは試験のプロセスに関して全く事実とは異なることを並べ立てて批判した手紙がディレクターの元に届いたり、教授会では試験のプロセスについての議論があーでもないこーでもないとぐるぐる回り・・・
結局まあその舞い上がってる学生のことはもうどうしようもないけど、試験のプロセスで不合格の場合は採点を担当した教員二人が直接学生にフィードバックをするというシステムがあったほうがいいんじゃないかということで、急遽それをすることになりました。
砂漠の大学では博士課程資格取得“試験”にこんな手取り足取りな親切プロセスなんてなかったですけど・・・

そんなわけで、例の学生にも相方の先生と二人で正式に会って、最初に「録音してないですね?」ということを確認してから、あなたのペーパーのココが不十分だからこうした方がいい、というのを一つ一つ相方の先生と説明したら、その時はその学生の態度は前とは全然違って何故か「おっしゃることごもっとも」な態度。
てゆーか、あたしとの会話を録音してたことをその学生もダンナも否定しなかったのが不思議でした。
しかし、そのミーティングではその学生はもう書き直ししたから、ということであくまでもそれを再提出したいという意向でした。

ところがその後、その学生から、あたしと相方の先生によいしょキスマークしまくって、次回の試験を受けることにしたという内容のメールが届きました。
そのメールによるとフィードバックのプロセスがすごいヘルプフルだったということでしたが、たぶん録音したことが法に触れるということに気づいて、これ以上騒いだらマズイと思ったんじゃないか、というのがあたしを含め先生方の意見です。あるいは弁護士からの手紙に対するプログラムからの返事で弁護士が勝ち目がないと思ってこの学生を諭したか。
まあとにかくその学生がおとなしくなったんだから、ここはあたしもおとなしく引き下がりましょ、と思ってその後この件に関しては口をつぐんでいるんですが、プライバシーを損害されたあたしの怒りはどうしてくれるパンチ

てゆーか、何であたしがこんな目にあわなきゃいけないのおおおおおおexclamation&question

ということでCurseだというオチだったわけです。


来年は良い年になりますように・・・(←切実な懇願)
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この記事へのコメント
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

>そんな簡単に博士号取れるんなら誰も苦労せんわいっ!

地声で日本まで聞こえそうな魂の叫びです。しかと聞きました(笑)。

こういう事件がある国と比べて日本は弁護士が少なすぎるとか言われているわけですな(笑)。はい。

質問があるといって来て試験の話をしだした時点で詐欺ですから、そこで断ってもいいんでないかと思いましたが、なかなか実際に経験されているとそんなわけにもいかないんですよね。それがわかる程度にはbunも大人になりました(←アイドルか?)。

「ダメ元」でもそちらの「ダメ元」と日本のそれで質が違い過ぎ。日本では「ダメ元」と言っても結構いけるかもという「ダメ元」ですが、そちらの「ダメ元」は脳の機能不全を疑われそうなホントにダメなことからやりおる。浅ましすぎます。それでかかるいろいろな人への迷惑について考えてる節がありませんね。

でもまあこの手の輩は、ELさんがさせられた以上の苦労をしょいこむでしょう。

Curse will come home to roost.

「ぴよぴよ」と酷いcurseが彼らの鶏小屋に押し寄せているに違いない(笑)。

Posted by bun at 2006年01月01日 09:22
ひょえー、恐ろしい話ですね。雲の上の話ではありますが、聞くだけでしんどいですねぇ。今年はよい年になりますように。。。
Posted by ヒロシ at 2006年01月01日 15:37
>bunさん
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
しかとお聞きいただけましたか(苦笑)
そうなんです、ウソをついて押しかけてきた時点でお引取り願えればよかったんですが、遠くからわざわざ来たんだし、と親切心を出したのが間違いでした(>_<) でも、このテの人はウソを指摘してもきっとしらばっくれて「ちゃんとこの用件だって言いました」と言って居座りそうな気がします。

>ヒロシさん
そ、そんなに怖いですか(;^_^A とりあえず相手の攻撃目標がうちのプログラムだったので、あたしは渦の中にいる時もそれほどしんどくはなかったです。
Posted by EL at 2006年01月02日 09:48
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