中間・期末テストに加えて、あたしの担当した授業では学期末締め切りのペーパーの課題もありました。
ペーパーと言ってもリサーチペーパーではなくて、他の課題でやった作業を通して学んだことをまとめて、それにパーソナルな内容を加えればいいようなもの。
ページ数は6−10ページ(ダブルスペース)。
これ、学期末に2クラス分、100以上ものペーパーを目の前にしたときは呆然としましたが、このペーパーの重要さを考えると、次のセメスターもやっぱり課題から外すことはできず、再び学期末に採点地獄を見たのでした。これぞまさしくSelf-inflicted Pain
このペーパー、内容はかなり個人的なことに触れるので、Plagiarism(盗作)とか代筆の心配はなかったのですが、D先生から「最初から最後まで神様のおかげ、みたいなことを書く学生いるから」と聞いていて、まさかと思っていたらやっぱりいました(-_-)
7−8ページにも渡って延々と「神様を信じてるから全てうまくいくわ〜」と書き綴ったペーパー。
あんたそれなら何でわざわざ大学まで来て勉強なんてしてるのさ、と思いましたが、こういうのに下手にコメントすると「神様のことを書いて何が悪い!」と開き直られて、それが大手を振ってまかり通ってしまいそうなバイブルベルト地帯ですから、さりげなくコメントして触らぬ神にたたりなし、哉
そうそう、この時のあたしのTeaching Asssistantshipの正式な職名はGraduate Part Time Instructor(GPTI:大学院生非常勤講師?)だったんですが、そんなあたしにも担当一クラスに一人学部生のTAがつきました。
その学部生たちはそれで単位がもらえる仕組みになっているので、学期末にはその学部生TAたちのTAとしての成績もつけることになります。
最初の学期は自分でも要領がわからないのにTAかかえると余計に仕事が増えそうだったのでTAをつけなかったんですが、その学期の終わりにクラスで、来学期この授業のTAをしたい人がいたら言ってきてください、とアナウンスしたら、うまい具合にいい学生がTAとして釣れました TAはTAをする授業科目を既に履修していて成績がB以上だったことが条件です。
TAにペーパーの採点をしてもらうわけにはいきませんが、それ以外のことはたいてい手伝ってもらえます。出席代わりの抜き打ちQuiz(小テスト)や中間・期末テストも記述式問題以外はTAに採点させて、Excelファイルで成績の管理も(一応)してもらって、クラスの学生の簡単な質問なんかにも対応してもらって、おまけに好きなトピックのプレゼンテーションなんかもさせてあたしの授業時間稼ぎに加担してもらいました。いや、一応「プレゼンしたい?」って聞いたら「したい」って言ってくれたので
そういえば当時のあたしのTAの一人が最近大学院に進学したいから推薦状を書いて欲しいと言ってきて、うんうん唸りながら書いたら見事その大学院に合格した、という嬉しい話もありました
それから、あたしがGPTIをしてるときに例の9・11事件があったんです。
その翌日担当の授業があっていつものように授業を始めたら、どうも学生が落ち着かない様子。そのまま授業を進めることができないほどではなかったんですが「みんなでちょっと話する?」と振ってみたら「したいしたい!」「前の数学のクラスじゃ何もなかったみたいにいつもどおりに授業があって担当の先生は昨日の出来事には一切触れなかった」という学生たち。
そりゃまあ、数学の先生はこのテの問題の取り扱いには慣れてらっしゃらないでしょうて・・・
しかし、いざディスカッションを始めたら「やられたらやり返せ!」「爆弾落とせばいいんだ!」って言う学生の多かったこと・・・
そしてアメリカの大学になくてはならいのがTeachingのEvaluation。つまり学生による授業内容と担当教員の評価です。
自分が学生としてEvaluationを記入するときはそれほどシリアスには考えてなかったんですが、これは教員にとっては非常にシリアスな代物です。このEvaluationの結果がよくないとAdjunct Professor(非常勤教員)はもう次の学期に呼んでもらえなくなりますし、通常の教員でもその科目はもう担当させてもらえなくなります。
GPTIももちろんそのEvaluationが悪いと次の学期にTeaching Assistantshipがもらえなくなります。
そういうことを知らないからか、知っていても事の重大さがそれほど理解できていないのか、学生たちは書きたい放題(-_-)
コメント記入欄に書かれたことは学部の事務さんがタイプしなおして全体の評価結果とともに渡してくれるんが、初めての学期にこれを見たときはかなりショックでした。
てゆーか今だに思うんですけど、これって所謂Varbal AbuseとかPsychological Abuseに相当しません?
同じことを言うにしても言い方ってのがあるわけで、このコメントを読んだら相手がどんなに傷つくか、なんてこと考えないんでしょうか?
あたしが学生のペーパーにコメントするときも随分気を遣ってコメントするんですが、そういう気遣いをTeaching Evaluationをする学生に求めるのは無理なんでしょうか?
Teaching Evaluationの仕方の指導というようなモノがあってしかるべきだと思うのはあたしだけでしょうか・・・
いや、まあ、全体としての評価はまあまあで、だから引き続きAssisstantshipのオファーがずっとあったわけで、「今までで最高のクラスでした!」なんていう嬉しいコメントもあったりするんですが、酷いコメントは酷いもんです。
中でも外国人留学生のTAに対するコメントでよくあるのが、"She doesn't speak English."
ほほう、そんな人の教えるクラスにあんたどーして3−4ヶ月もいたわけ?と思うんですが、こっちの学生はそれを伝家の宝刀のように使ってくれます。中流階級の白人米語を完璧に話さない外国人がこの宝刀で切りつけられるのはしょーがないんでしょうか。
文法がめちゃくちゃで何言いたいのかサッパリわからないような(アメリカ人)学生のペーパーにすら"She doesn't write English."なんてコメントあたしは絶対書かないですけどね・・・
というわけで、TAシリーズやっと終了です。
このカテゴリーの次回は博士号取得の関門の一つ「リサーチ7000」というクラス(?)について書くする予定です。
"She doesn't write English"のコメントが痛快でした(笑)。うちのクラスメートにも結構すごい英文を書く人がいます。が、わたしも人のことを言えないので(汗)。きっとわたしがTAなどやったら、みんなから"You don't speak English"と紙つぶて投げつけられるんだろう、と想像するだけでぞっとします(滝汗)。
もう少し英語のレベルをあげねばとは思うのですが・・・う〜ん。
これからも大学院関係のお話、楽しみにしています!
http://www.ratemyprofessors.com/index.jsp
そこで私のお気に入りの中国人女性のプロフェッサーが、"She doesn't speak English."という理由でかなり低い評価を得てて、悲しくなりました。確かに彼女はクセのある英語を話すんですが、授業は真剣だし、公平だし良い先生なんですよね。評価を読んでて私が頭に来ちゃったんですが・・。案外、アメリカ人のほうが文法めちゃくちゃだったりするのに・・。
来年もがんばってくださいね!応援してます!
たとえば、フランスの文化の入っている、カナダ人はいいのですが、アメリカ人については(根っこの根っこじゃ外国人の癖にってのがあって、その宝刀があるからこそ親切にできるんだな)という嘘の親切を感じたことが何度かあります。正直言って。He/She doesn't have any green cards!
ってせりふが殺し文句にできると思ってるというか。
まあこちらとしては名前をメモっておいて、来日し次第同等に扱ってやるしかないんですが(笑)。怒ると結構へたれてガタイの割りに実に情けない哀願をするので、そんなことなら最初からそこそこにしとけと思ってしまいます。
血の気の多い話で恐縮です。悪意に負けず乗り切っておられて何よりです。
いらっしゃいませ♪
すっごい英語書く人いますよねえ、英語がネイティブで大学(学部)卒業してるのに(苦笑)
花の40代、お互いに一花咲かせましょう!
>manekinekoさん
そんなサイトがあるの知りませんでした。あわてて自分の名前探してみましたが、なくてよかったです(^_^;) 豪雪地帯の修士のプログラム、砂漠の博士課程のプログラム、今の勤務先の大学院のプログラム、全部調べてみたんですが、知ってる先生の名前はなかったです。ほっ。
"She/he doesn't speak English."というのは、何か気に入らないところがあって、でもその何かが正当な理由じゃなかったり(単なる外国人差別だったり)、自分でもよくわかってなかったりする時に手っ取り早く相手を貶めるためによく使われるような気がします。
応援いつもありがとうございます!
>bunさん
Teaching Evaluation自体はいい制度だとは思うんですが・・・
あたしはそういう相手には思いっきり親切にして相手に感謝させまくって、自分のした行為を恥ずかしく思わせるケンカの仕方が得意です(^_^;) でも、そういう相手って往々にして自分のしたことがわかってなかったりするんですよね・・・
ペーパー100本って、採点地獄度満点ですね。ふー、聞いただけで、おなかいっぱいですね。幸いコンテントコースを教えているわけではないので、英語がだめって言われることはあまりなくてすんでます。(汗)
ブログ面白いです。アメリカでphDをとるのは並大抵の苦労ではないと見て知っておりますので体に気をつけてがんばってください。